【テックジャイアン2004年4月号 ウィル現象】
企画・シナリオ担当の椎原旬氏にPULLTOPについて聞いたぞ。
――ブランドを立ち上げた理由は?
ブランドのイメージ作りも含めて、最初から自分たちでやってみたかったからです。すでに他の人の色がついてるブランドだと、自分たちの行動の是非がストレートに反映されづらいんです。でも自分たちのブランドなら、うまくいけば自分たちの成果、ダメなら自分たちのせいと、とてもわかりやすいですからね。それに同じチームでゲームを作っていくブランドのほうが、ユーザーのみなさんに安心してゲームを手にとってもらいやすいかなと。
――PULLTOPのコンセプトとは?
”楽しさ”の追求です。作品によって追求すべき楽しさは変わりますが、プレーした人が「楽しかったなぁ」と尾もてる物を作っていきたいですね。基本的な制作方針は、自分たちの作りたいゲームを、できる限りのクオリティーで作ることです。その作品とユーザーさんが求めるゲームの接点を、いい形で探っていけたらなと思っています。安くないお金を払ってゲームを買ってくださるユーザーさんには、価格以上の満足を感じてほしいですからね。
――現在製作中の新作『お願いお星さま』について聞かせてください。
3作目ということで、ブランドの今後を問われるゲームになると思っています。”エロい、楽しい、学園もの”をお届けしますので、楽しみにお待ちください。ユーザーのみなさんに安心してゲームを手に取っていただけるよう、今後もいいゲームを作り続けていきますので。
What's PULLTOP?
なんとなく上昇志向っぽい感じがする。
ブランド名には”ル”の文字を入れるのがお約束だった。
語感のよさ。
以上の理由から命名。
【PC Angel2004年5月号 PULLTOP直撃インタビュー】
――制作にとりかかった経緯についてお聞かせください。
椎原:『とらかぷっ!』を作っている最後のほうに何やる? ということで、とりあえず幼なじみが出てくる学園モノという要素が出たんです。それを外さない形で、できるだけ早く作りたいなと思いつつ、間に『夏少女』が入ってきてドップリハマってしまって。それが終わってからようやく制作再開で、現状に至っているという感じですね。
――今回H度が非常に高いとお聞きしましたが?
椎原:最初に「幼なじみと学園モノ」となったときに、”幼なじみを恥ずかしがらせる”のをメインにしようというのは決まっていたんです。ただHシーンを入れていくという形じゃなく、どっちかというと恥ずかしがらせるほうをメインにしたくて。シチュエーション系とか、間接的なH方面も充実させていきながら、ゲームを詰めようと思っています。
――Hイベントは本番よりもイタズラなどのほうが多いのでしょうか?
下原:CGを裂いている量としては本番シーンが多いですね。それはもう1回2回ではないです。真朋のルートに入ったときでも、ひびきとのHが3回ぐらいあったりします(笑)。
たけや:雑誌とかで見ただけだと、「これ何をしているの!?」と思わせるような絵も多いですよ(笑)
――恥ずかしがらせるという点を、特に意識したのはどういう理由が?
椎原:基本的に好きなんですよね(笑)。始まりはそれが好きだから、面白そうだからぐらいで始まっちゃうんです。そのあとで理由を固めていくんですよ。ドンドン理論武装していこうという。
――重点をそこに置いたことで、苦労されたことなどはありますか?
椎原:恥ずかしがっているというところよりも、複数の人を絡ませても同じ構図にならないようにするという点ですかね。
下原:真朋とひびきの3Pだけで、いったい何枚のCGを描いているのか(笑)
たけや:もう2人がやたら詰めてくれるんで…。常に『〜しながらこうしてくれ』という指定がありまして、それを800×600の枠にどうやって全部入れてやるかなというのはありました。
下原:そこは本当にすごいなと思います。自分で頼んでおきながら、よくこんな無茶な注文を入れて絵が描けるなと(笑)。
たけや:立ちキャラも背景もイベントCGも、前作よりよくなってるといわれたいじゃないですか。試せることは何でも試してます。
下原:今回1枚の絵の中で動かすということもしてみようと思って、絵をもともと大きく塗ってもらっているんです。拡大しても、線は問題ないところまで描いてあるんで、バッと顔をアップさせたりとかの遊びもできる。
椎原:立ちキャラの演出が非常ににぎやかかんですよ。コロコロ表情が変わったり、動いたりという演出を入れています。
たけや:立ちキャラ劇だよね。前2作でもやってますけど。
椎原:今までで一番頑張ってる(笑)。いってみれば、AVGってイベントCGだけでつなげていくのは無理なんですよね。基本的には背景の上に立ちキャラが立っている時間が一番長い。じゃあ、その時間をどう楽しんでもらおうかな、というのがメインの考えです。
下原:そこは自信があります。ぜひ見てほしいところですね。
――”恥ずかしがらせるヒロイン”を作るにあたって、注意された点は?
椎原:真朋というおっとり系のヒロインがまず先にありました。胸が大きくおっとりめのこの娘が、ユーザーさんから見て恥ずかしがりそうなヒロインかなと。基本的にはこの娘を恥ずかしがらせようというのが一番にありましたね。
下原:真朋は僕たちの中で考えるひとつのベタな形ですね。
椎原:ほのぼの系幼なじみをまっすぐに表現してみようというのはあるよね。
たけや:初期稿を外の人に見せて意見を聞いたら、「ヒロインですか? 地味ですね」みたいなことをいわれたので、ちくしょ〜、じゃあ、もっとヒロインヒロインさせてやる! って(笑)。
椎原:ただ、ある程度のやぼったさも残したかったんです。最終的にはうまくまとまったかなと思います。
――ではひびきのほうは?
椎原:初期の段階でヒロインが2人いることは決まっていたので、対になって面白い、かつ真朋と同等のキャラクター。あまり胸が大きくなく、明るい活発形のヒロインということでひびきを置きました。快活系ヒロインの一番オーソドックスな形から出発してますね。頭をペチンと叩かれてしまうタイプ。
下原:性別関係なしで、一番近くにいる存在という感じです。セリフも「バカ」だの「アホ」だの…。ただ、キャラデザインでは、特にメインヒロインの2人は苦労してましたね。
たけや:逆にファムとシルビィはすごくあっさりと。ファムは初めのイメージからガラッと変わったけど、シルビィはホント最初からこうだったよね。
――次に謎の少女2人組、ファムとシルビィについておうかがいします。
椎原:ファムは自称レディでいろんなことをキチンとしている、と思ってるんだけど、なかなかそうは見えない。一番のギャグ要員になっています。
下原:周りに被害を与えるタイプというか。できる娘だけど、しょっちゅう傍に迷惑をかけてしまうタイプ。
椎原:まあ、熱血暴走系だからねぇ。あと、なんでも笑顔と根性でごまかそうとする。何かあると、口をついて出るのは「根性でがんばってください」(笑)。
――性に対する倫理観が、二本とはかなり異なっているとのことですが…。
下原:特にシルビィのほうは彼女の国でもおかしい。ファンは少しおカタイですが、それでも2人ともズレてる。
椎原:Hが悪いことじゃないという常識の中にいたので、性に対する抵抗感があまりない。ファムはどちらかといえば自分から手は出さないけど、シルビィは積極的に手を出すのでより質が悪い。
下原:シルビィは女のコを見るとすぐ口説く。すごくオヤジ臭いです(笑)。
――この世界を構成するほかのキャラについて。まず新聞部部長の文香から。
下原:謎の人なんで、今でも次から次へとよくわからない設定が(笑)
椎原:なんでもありだからなぁ、この人の場合。基本的には真朋を恥ずかしがらせて楽しんでいる人。ある意味主人公ですか? という感じです(笑)。
――文香とライバル関係にある桜庭についてお聞かせください。
椎原:典型的な委員長的キャラ(笑)。
下原:こうするしかないでしょうという形で作りました。メガネでデコでプライドが高い、乳がデカイ…。以前からひびきに対する対抗心があって、でも憎さ余ってかわいさ100倍になっているような女のコです。桜庭はシルビィの行動や佐和さんに怒っているし、ひびきにも怒っているし、主人公に対しても怒っている。いつでも怒っているんです(笑)。
――PULLTOPというと、”ドタバタ”という部分に期待されている面もあると思いますが、そのへんのこだわりは?
椎原:常に集団劇をやりたいので。
下原:細かくヒロインごとにルートが分岐するという形ではなく、常に全員がいて、その中での話の流れ・方向が変わるという感じです。どの流れでも最後のほうでフェードアウトするキャラはいません。全員がなんらかの形で話に絡んでくる、というのが作っていく上での考え方ですね。
――作品を通してのテーマなどはありまりました(筆者註:『ありましたら』の誤植か?)、お聞かせください。
下原:基本的にはドタバタAVG。ただ、表面だけをなぞって終わらせるつもりはありません。真面目な話もキッチリ消化しつつ、常にエンタテイメントとして楽しく、最後はスカッと、というところを裏切るつもりはないです。
椎原:うちのテーマは常に世界観の提示であり、キャラの提示だから、ある意味そうとしかいえない。
下原:あくまで好きになったキャラクターは最後まで好きで終われます、という形で作ってます。
椎原:あとは、”いて楽しい世界・キャラクター”というものになっていると思います。居心地のいい世界を提供できればな、と常に考えてますから。
――最後に読者についてひと言どうぞ。
椎原:全体的にどこも手抜きせずに作ってあるので、安心してゲーム全体を楽しんでください。
下原:ファンの人が遊んで不安を感じない楽しいテイストは、今まで以上にパワーアップさせています。なおかつ、今回はかなりエロく(笑)。軽いHがイッパイではなくて、段階ごとのさまざまなバリエーションを用意してますので、楽しみにしておいてください。
たけや:プルトップ=楽しいゲームなんで、そこですね。立ちキャラ割込みの全体のテンポ。絵としてというよりも、それも含めた総合として見ていただければ。
参加していただいたスタッフの方々
■椎原旬氏
企画・シナリオ担当。最近ハマっていることは、ネット上で高性能なPCを組んで買った気になることと、猫を飼うならメインクーンがいいか、アメリカンショートヘアーがいいか真剣に悩むこと。
■たけやまさみ氏
原画担当。最近、念願のDVD/HDレコーダーを購入、忙しいながらもテレビを見るようになった。あまりの便利さに感動しつつも、今度は年季物のテレビ(14インチ)に不満を覚えるように。
■下原正氏
シナリオ担当。猫あさり。それが最近唯一の息抜き。ネットにアップされている猫画像を毎日チェックし、会社の行き帰りには近所の猫に挨拶めぐりを欠かさず、逢った猫には名前をつけるのを忘れない日々。
【PC Angel2005年5月号 ソフトハウスインタビューPULLTOP】
プラスの感覚を想起させるゲーム作りを
プルトップはディレクター、シナリオライターの椎原旬(しいはら・しゅん)氏、企画・シナリオライターの下原正(したはら・しょう)氏、そして原画家のたけやまさみ氏の3人で立ち上げられた。現在、スタッフは6人だ。
椎原「僕と下原は大学に入ってからのつき合いで、立ち上げの時点で8年ぐらいだったかな」
下原「大学では同じサークルで、同人活動なども一緒にやっていました」
椎原「僕は6年間大学にいたあげくに卒業できなくて、Leafに入りました。その時に伊丹(兵庫県)と東京で、距離的には離れたんですが、下原とはネットでミーティングできるソフトを使って、夜遅くまで話したりしていました。で、Leafをやめて自分でやるときに、一緒にやれないかなと誘ってみたんです」
下原「椎原がブランドを立ち上げるというので、じゃあ、一緒にやろうかと」
ギルティなど多数のブランドを抱えるウィルからリリースしていくことになったいきさつはどんなものだったのか。
椎原「それはもう成り行きなんですよ。知り合いの出版社の方にウィルの広報の方を紹介していただいて、そのときに『どう?』『じゃあ、お話させてください』みたいな感じでトントンと。『ルーフからでてる『独占』っていうゲームのリライトがあるんだけど、それからやってみてくれる?』『じゃあ、それからやりますよ』というやりとりのあと、なぜかメイン部分のシナリオをいちから書くことになってました(笑)。『独占』のシナリオを仕上げて、ちゃんと仕事をしますよということを示したところで、東京で新しいブランドを作りたいと話したらOKが出て、プルトップが始まったという感じです。それに先がけて原画のたけや君に声をかけたら、OKの返事をもらえたのもいいきっかけになりました」
このブランドでは、どんなゲームを作っていこうと考えているのだろう。
椎原「ベクトルがプラスなもの、楽しいものを作っていこうと思っています。あとは今、何を求められているか、自分たちが何を作りたいかを重ね合わせて考えたりはしますが、基本的にはユーザーさんにプラスの感覚を想起させるゲームを作りたいな、というところがメインにはあります」
そのプラスの感覚が、コメディータッチとかドタバタということになってくるのだろうか。
椎原「というか第1作の『とらかぷっ!』のときは、単に作りたいものを作ったんですよ。そこでコメディータッチやドタバタを好まれる層の方に受け入れられたこともあって、基本的にはそこは大事にしていこうかなぁと考えるようになって。ですから、『とらかぷ〜』ではないゲームを作っていたら、違う方向性に進んでいた可能性もありましたよ。まぁ、細かく考えるよりは、自分たちが見失ってはいけない大事なポイントだけを見つめていけば、あとは自由に進んでいいかなと」
Hシーンは少なくても大事なゲームの一部
『とらかぷ〜』には、Hシーンが少ないという声もあったようだが…。
椎原「回数的には少ないといえば少なかったですね。普通のシナリオプラス最後にHシーンという枠の中で作ってしましましたから。そこを違う形にしたらどうなんだろうというあたりを下原が――」
下原「『お願いお星さま』はHシーンが多めですが、そっちに進化したのではなく、たまたまそういう形で作っただけなんです。今の18禁ゲームでは、ある程度少ないのもありだと思っています。Hシーンをおざなりにするつもりはありませんが、そこを多くすると削らないといけない部分が出てきますし――」
椎原「『お願い〜』の場合ですと、いたずら系のHイベントと本番を含むHシーンのCG枚数が多すぎて、残りはエンディング周りとプロローグぐらいにしか割けない。あの期間内にうちの態勢で作ろうとすると、普通のイベントにCGを割けなくなってしまうんですよ」
下原「2作ともそれぞれひとつの形であって、『とらかぷ〜』が『お願い〜』よりも劣っているという感覚はないですね。ですから、次も『お願い〜』のような割合でHCGを入れるかというと、そうとも限らないんですよ」
椎原「1作1作がテストケースだと思って作っています。よりユーザーさんに喜んでもらえるものをめざしながら、自分たちの作りたいものという部分は変えずに作っていこうと。柱が自分たちの作りたいもので、その柱を導いてくれるのがユーザーさんの意見かなぁという感じで作っています。どういう方向へ行けば、よりどちらも満足できるいいものができるかを模索しながらやっています」
18禁ゲームにしなくても十分遊べるつくりになっていると思えるが…。
椎原「一般向けで出すことも可能ではあるでしょうけど、自分たちが求めているのはHシーンまで含めたもので、そこもストーリーの一部なんですよ。たとえ割合的に高くなくても、そこは大事な一部だと思っています」
下原「極端な話かもしれませんが、世間の流れとしてエロがないゲームでも、あとでエロがついたりするじゃないですか。同人などで。そう考えると、Hシーンって重要なんですよ、やっぱり」
現在、第4弾の発売を控えているが、これまで出したゲームの、それぞれの狙いと成果はどうだったのか。
椎原「『とらかぷ〜』はユーザーさんを見ずに作った作品ですね。ユーザーさんを無視して作ろうとした訳ではなく、ユーザーさんの姿が一番見えていなかった頃の作品なんです。自分たちが面白いと思えるものを作って、どう受け取られるのか、それだけしかありませんでした。しかも、その発売日はほかにヒットした『D.C.〜ダカーポ〜』『それは舞い散る桜のように』『Milkyway2』などがあって、発売と同時にプレイしていただけた方の数が限られたんです。だから、感想が上がってきたのが、発売後、半年以上経ってからでした」
下原「初タイトルは広報展開など、きっちり押さえないとこうなるんだなぁというのを思い知りましたね。自分たちはちゃんと作ったつもりなんですが、手にとってもらえない、声も返ってこないという状況を、最初感じました。今でこそある程度、固定のユーザーさんが早めに感想をくれますけど」
椎原「うれしいことに『とらかぷ〜』は、好意的な声を多くいただきましたが、発売時期にみんなで『これは面白い』という感じで盛り上がれないと、少なくとも発売本数には響きますね。あとから評価されても厳しい、最初からみんなの目を引きつけておかないとダメなんだなと」
年に2本の理想のリリースをめざす
そこで第2弾の『夏少女』では、広報にも力を入れたという。
椎原「新しく入った広報さんとコンセンサスをとりながら、一緒に頑張りましょうという形で始まったのが、『夏少女』のプロジェクトになります。企画自体は外部のSHARED(シェアード)さんのもので、それを監修しながら僕たちは『お願い〜』と2本併行でやってみようと思ったんです。でも、当時プルトップには3人しかいなかったので、早々に破綻しました。どうしてあのときにわからなかったんだろう(笑)。ちなみに『夏少女』というプロジェクトを通じて最大の変化は、原画の藤原々々(ふじわら・わらわら)さんの加入だと思います。処女たちの3年間の成長を見守るというコンセプトは面白いですし、ユーザーさんを引きつけたと思います。ただ、それ以上に藤原さんの絵を生かせる形で加入していただけたことが大きいと思っています。このゲームは幅広く、かつ成年の中での低年齢層に受け入れられました」
下原「『夏少女』のユーザー層は『とらかぷ〜』や『お願い〜』と比べて圧倒的に若いです」
椎原「売り上げ本数でいえば成功でしたし、『とらかぷ〜』と違うベクトルで提示できた点でもプラスだったと思いますが、プルトップの色としては薄かった感がありました。そこがどうだったのかなぁというところですよね」
では第3弾の『お願い〜』は、セールス的には成果があったのだろうか。
椎原「悪かったわけではありませんが、もう少しいきたかったですね」
下原「もう少しいけると思っていました」
椎原「より買ってもらうつもりで作っていましたし、ユーザーさんにも今までで一番注目してもらえているなという感じがあったんですが、思ったところまではいけませんでした」
これまでにほぼ1年に1本のペースでのリリースになっているが…。
椎原「このままだと厳しいでしょうね。ブランドの認知度が上がりませんし、定着しずらいと思います」
下原「そこが一番大きいかな。年に1本ではユーザーさんに忘れられちゃうというか、外に対するアピールが十分にできませんよね」
椎原「リリースが遅いということは、ユーザーサービスの点でも劣ると思うんですよ。その前にプレイしたゲームの感覚を、ある程度覚えてもらっているところに、ちゃんとした質の高いものを出していく。それもゲームの面白さの一部ではないかと考えています」
下原「プルトプのクオリティで出すのは、今のラインだと年2本が限界かな」
椎原「それは出してからいおう(笑)。年2本というm九表に向かって、今頑張っています」
そこで外部の強力を得て、内部と交互に出していく形になっているのだろうか。
椎原「自分たちだけで連続して作るとすると、修羅場からまた修羅場というのは、相当厳しいですし、枯れていく部分も感じます。それに現在、プルトップのスタッフは6人で、2ラインを回せる人数ではないんです。ですから『夏少女』『ゆのはな』は、外部の方に頼らせていただいているわけです」
ゲラゲラ笑ってしまう『ゆのはな』のテキスト
プルトップのクオリティを維持するには、1本に1年の期間が必要なのか。
椎原「1年がギリギリですね。ちょうど1年ぐらい欲しいです。大作化につき合うつもりはないんですけど、ある程度質と量を兼ね備えたものを提供しないと、ユーザーさんの評価としては厳しいところがあると認識しています」
下原「短いスパンで次々と出していくもの、腰をすえて作ってドンと狙うものと、2種類があると思うんですが、僕たちは後者寄りの考え方ですね。そのためには、ある一定以上の作り込みをしないと提示できません」
椎原「アイデア勝負の、フットワークを軽くという作り方はやっていませんね」
では、制作期間1年の仕事の内訳を教えてもらうと――。
椎原「『夏少女』の話でいいますと、『とらかぷ〜』が終わる前から話はありましたが、藤原さんと顔を合わせたのが夏のコミケの時期です。『とらかぷ〜』の発売が6月28日ですから、それからひと月半後のことになります。それまでは企画の詰め、原画や音楽を担当していただく方の選定、考証などで時間が過ぎた印象です。企画・原画ともに外部の方にお願いするのは初めてだったので、思ったより手間取りました。企画のスタートからスタッフの決定まで、ほかの仕事との併行作業で約2ヵ月。そこからようやく実作業が始まるわけです。原画家さんには半年ぐらいの実作業用の期間をとっていますが、たいていそこに期間をプラスする要素が出てきます。それは発注の遅れです。原画家さんは発注がないと描けません。発注が完全に足りて、はじめて途切れることなく原画を描けるわけです」
下原「ちなみに、発売感覚が約1年空いた場合、実際に制作に充てることができる時間は約10ヵ月です。ゲーム発売後は、グッズや書籍などの事後処理にかなり時間をとられますから」
椎原「マスターアップまで10ヵ月として、企画の準備とスタッフ決定、スタート時に必要な発注の作成に3ヶ月はとられています。だいたい7ヵ月が実制作に詰めている期間です。内部制作の場合は、各作業を区切ることができなくて同時進行になります。常にシナリオを書きながら、原画の発注しつつ、上がってきたものをチェックして、それを塗ってもらってと。今まで基本的に企画とシナリオが一緒で、進行およびディレクションをやっている人間がシナリオも書くわけです。言外外の発注もかけないといけないので、その部分の時間も削られます。この負担をできるだけ減らそうと『ゆのはな』では、シナリオライターの朝妻(あさづま)ユタカ君に、シナリオは書かない、ディレクションだけしかやらないという方針の元、作業を進めています。
確かに時間はかかりそうだ。
椎原「締め切りより質優先なんですよ。今、これを出すよりは、時間があればこうなりますよといわれれば、無茶でない限り質のいいほうを取ります」
下原「今の状態では早くするか、遅くするかとなると、早くして悪いものより、遅くなってもいいものをと、そのほうがあとあとにつながると考えています」
1ヵ月発売が延びてしまった『ゆのはな』の魅力を聞いてみよう。
椎原「藤原々々さんの原画でやろうというのが出発点でした。絵柄の魅力を引き出しつつ、あたたかい話を楽しんでもらおうと作っています。『夏少女』のユーザーさんの期待は裏切りませんよ」
下原「テキストの面白さは抜群ですよ。丸谷秀人(まるたに・ひでと)さん、J・さいろーさんたちの文章は、僕たちがマネできないテンションで、みんな作業をしながら読んで、ゲラゲラ笑ってます」
椎原「背景、立ちキャラの演出、CGの塗りなど、順調に質は高められていると思います。ですから完成度という点では、これまでで一番だと見てもらえると思いますし、そこに乗るのが藤原さんの絵であり、丸谷秀人さんさいろーさんの文章であるわけです。ですから自信はありますよ」
最後に読者へのメッセージを。
椎原「できるだけいいゲームをつくっていこうと思いますので、そのためにちょっと冒険みたいなことをしてしまうかもしれませんが、それも含めて信じていただければと思います」
下原「損はさせないという言葉を信じてください。僕たちの信じる高品質を提示していきますので、応援をよろしくお願いします」
【PUSH2006年4月号 PRINCESS WALTZ特集】
PULLTOP第5弾作品として過去最大に注目を集めている『PRINCESS WALTZ』だったが、残念なことに発売日が4月21日へと変更になってしまった。表情(筆者註:『非常』の誤植か?)に厳しい進行の中で延期の決断をした代表&シナリオの椎原氏に、忙しいなかに時間をとってもらい延期の理由を聞いてきたぞ!
苦渋の発売延期……
新たなXデーは4・21に!
傷心の椎原氏に延期の理由を聞く!
本当にごめんなさい、がんばります。
――早速ですが、2ヵ月延期となりましたね。
椎原 すいません、本当にごめんなさい、がんばりますとしか言いようがありません(汗)。
――具体的にはどのような影響があって延期を決めたのですか?
椎原 何を言っても言い訳にしかならないですが、現段階では『PRINCESS WALTZ』を自分達の望む形にするためには期間が足りなかったのです。
――2ヵ月製作期間が増えたことで、どの辺りがパワーアップするのでしょうか。
椎原 主にシミュレーションパートを強化しています。特に動きなどの演出をグラフィッカーさんが今がんばって作っているところです。
――シミュレーションの完成具合は?
椎原 ベース部分の実装はメドがついてきたので、先ほどの演出の面と、調整がメインになっています。例えば何回戦闘があってどのように成長していくか、とかですね。
――シミュレーション以外で強化されるところは?
椎原 期間がとれたことでシナリオにお手伝いの方が1人、入っていただけることになりました。現段階では名前を出していいのか微妙なので詳しく言えませんが……。
――どのような方ですか?
椎原 他のブランドで経験のある方で、実力のある方です。戦闘シーンなどが得意なので、まさにその部分をお願いしようと思っているところです。
――延期したことによって、ストーリーが追加されたりしたのでしょうか。
椎原 いえ、期間がとれたおげで逆に当初の予定通りに全てストーリーが入ることになりました。以前の2月24日の発売日だと、ストーリーを少し削ろうかという話もありましたが、それは何とか避けられそうです。
――ユーザーの反応を見て、ストーリーを修正したりもしましたか?
椎原 それはないです。ただ、Web上の感想などで、のどかシナリオの話が出たりするとドキドキしますけど(笑)
――のどかファンとしては、エッチシーンがあるかないか気になっているでしょうね。
椎原 うーん。のどかは、サブキャラという位置付けだからこそかわいく書けるという部分もありますし……。できるだけ要望には応えていきたいですが、それを叶えるために元のお話に破綻をきたすようなら、無理には入れないと思います。
――のどかルートはあるのですか?
椎原 エンディングがあるかどうかということなら、のどかエンドはないです。でもあるヒロインと密接に関わってきます。
お姫様は全員エッチがあります。
――では、お姫様は全員攻略できると思っていてよいでしょうか。
椎原 エッチに関しては、現段階で全お姫様のエッチCGも公開していますし、確実にあります。現実世界のキャラでは、静ともエッチできますね。
――ピジョンとかは?
椎原 ピジョンとかは絶対ないです(笑)。
――残念です(笑)。今後の予定として、シミュレーションパートができあがった場合に、戦闘の入った体験版を出す予定はありますか?
椎原 シミュレーション部分は2月いっぱいで完成するように進めてますので、3月の中ごろに戦闘シーンの入った体験版を出しますね。
――公開予定はいつ頃ですか?
椎原 3月中頃に秋葉原で体験版の配布会をしたいと思ってまして、広報の方に準備してもらってます。もちろん、その他の地方のショップさんにも置いてもらえるようにしますし、Webでも公開するつもりです。
――今回初めての予約キャンペーンも行っておられると聞いていますが。
椎原 そうなんですよ。実はいままで予約キャンペーンというのをやったことがなくて。
――意外ですね。
椎原 やろうという話が出たことはあったのですが、作業に没頭しているうちに、いつの間にかなんとなく流れてて(笑) ちなみに予約キャンペーンの内容ですが、3月27日までにキャンペーン協賛店の方で『PRINCESS WALTZ』をご予約していただくと、Elements Gardenさんの作ったOPとEDのフルバージョンが入ったマキシシングルがもらえます。協賛店はホームページに一覧が載ってますので、ぜひチェックを。オフィシャル通販を利用される場合でも期間中に予約していただければ、ちゃんと特典CDはもらえるようになっています。
――過去の作品は後に発売されるサントラCDにフルバージョンが入っていましたが、そちらには収録されないのですか?
椎原 まじめな話、今回は曲数が増えたためフルバージョンはサントラCDに収まりませんでした。なので、今回は予約キャンペーンでしか手に入らないことになると覆います。ただ、予約していただければ問題なく手に入るので、ぜひ予約してください(笑)
竜を出したら反則です。
――あと最後にこんな話題もアレですが、ぜひ聞いておかなければならないことがありまして。
椎原 はい、なんでしょう。
――公開済みのCGにアンジェラが傷ついたイーリスをいじめているようなCGがありますが……アンジェラはレズなんですか?
椎原 レズではないです(笑)
――実はフタナリでイーリスがいじめられちゃうなんてことも!?
椎原 今回フタナリキャラはいません!(笑) アンジェラは綺麗なもの、高潔なものが好きなので、レズではなくて綺麗なものをかわいがるという性質なんですよ。
――なるほど。そういえば、お姫様達のドレスは1着しかないのですか?
椎原 うーん、基本的に技がパワーアップしていくのでドレスは変わらないです。でも、イーリスだけは何バージョンかドレスが存在しています。
――最終的にどのくらいのボリュームになるんでしょうか。例えば現在公開している第3話までプレイできる体験版は、禅話の何割のところだとか。
椎原 第3話までだと、だいたい15パーセントくらいですね。
――アンジェラは竜騎士らしいですが、竜に乗らないんですか?
椎原 プリンセスワルツでは竜を出して戦ったら強すぎるので反則です(笑) でも、ワルツの舞台の外では竜に乗ることもあるかもしれません。
――最後に、もう延期はないですよね?
椎原 ないです。はい。
【PUSH2006年9月号 萌えキャラ列伝 マスコットキャラクター編】
PULLTOPの椎原氏にインタビューしてきたぞ!
――今日はもちたんについて面白い設定を聞きたいんですが……。一体誰が設定を考えてるんですか?
椎原 僕と下原とたけまささんで、いつもくだらない設定を作ってます。
――もちたんは桜姫と同一人物?
椎原 同じです。というか、桜姫の神格が高くなるともちたんになります。
――しゃべると何で大阪弁に?
椎原 僕が関西に住んでたことがあるので(笑)。
――なんでいつも裸なんですか?
椎原 もちたんはいつも自然体なんです。だから裸が普通なのです。
――エサは何を食べてますか?
椎原 ちゃぶ台を背負って移動している設定ですので、そのちゃぶ台の上でご飯とお茶を食べてます。ちなみに食べるところを見てると「食べるかっ?」とご飯を勧めてくれます。でも勧められるままに食べてしまうと、少し悲しい目をします。ちなみにお礼にお茶を渡すと「すまんなっ!」と喜びます。
――少し悲しい目って……目はいつも閉じてるように見えますが。
椎原 たまに「カッ!」と目を見開くんです。でも普通の人には開いているように見えません。開いているかどうかわかるのは蕨だけです。
――飼ってるといいことありますか?
椎原 桜姫より神格が高いので、肩に乗せると肩凝りがとれます。